お弁当のおかずが全て冷凍食品でも、愛情こもったお弁当であることには変わりない。
食べ終わったお弁当持って会社の食堂を出ようと思ったら、正面に見知った人が現れた。
「なーにー?今日はお弁当?」
馴れ馴れしく話すこの人はオレとは違う組織に組してるおばちゃん。
毎日×②仕事の資料を届けていて挨拶はしていたのだけど、今では挨拶だけでは物足らずどうでもいいことまで面白おかしく話しかけてくるとても楽しいおばちゃんだ。
そんなおばちゃんが再度オレの左手にあるお弁当袋を見て微笑む。
「あらやだー。愛妻弁当なの?」
聞いた瞬間、前にも似たような展開があったのを思い出した。
彼女がいること。同棲してること。結婚はしてないこと。
そのときもなんだかんだでけっこう話してた。…はずなのに。
…なんで大事なとこ覚えてないんだろう_| ̄|○|||
またいい風に解釈されるのかなぁと思ったけどオレはまた説明した。結婚してないこと。次の3月で同棲期間が2年目になること。結婚は彼女が大学卒業したらしようと思ってること。
今度は忘れないでねと思いながら話した。
話を頷いて聞いてたおばちゃんは最後に言った。
「2年もたつならもう結婚しちゃえばいいのに~」
うん。オレもそう思う。
でも、学生結婚してもいい点なんかないでしょ。
もう入っていない空のお弁当を持ちながらオレはそう思った。