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『お慕い申し上げます』朔ユキ蔵 @ゆう

 「『死』が怖い」
 
 幼いころに『死』への恐怖を抱えていた少年二人は、成長してのち、『死』が身近な僧侶となる。嫉妬、性欲、憎悪・・・胸の内に次々と湧き上がる人間の『心』にどう向き合っていくのか、煩悶する様を描いている。そしてかつて二人が共有した『死』の恐怖が刻々と近づき・・・。
 6巻で完結となっているこの作品は仏教の教えがふんだんに散りばめられているので、仏教の世界に触れるには良い内容だと思います。分りやすいかどうかはともかく、心に伝わるものはあります^^; 作中では悲しい『死別』に向き合うキャラたちの心の揺れが丁寧に描かれていて、もし自分がこの人の立場であればどうするんだろう、どう思うんだろう、どんな風に向き合うんだろう、・・・いやこんな状況にはできるだけ置かれたくないな、でも『死』は誰にでも訪れるからそれは無理だな・・・と色々感じさせられるところがありました。
 作品全体の雰囲気としてはお坊さんネタなのにエロあり、マイナスな心理描写ガッツンガッツンあり、お寺の台所事情あり、ほんわかあり、死別あり・・・なのでお笑いを求める時には向いていません^^; 誰しも一度は『死』について想ったことはあるかと思いますが、最後まで読み進めていくと、『死』についての新らしい見方が『死別』で悲しむ気持ちの中にそ・・・っと寄り添うのではないかと思います。
 良いお話でした(T^T)