毎朝ゆうにお茶を淹れてもらい、耐熱性のペットボトルに入れて会社に持っていく。そのお茶の味を楽しむようになったのはいつからだろう。
ジュース、お茶、コーヒー、お酒、ビール。
この中で何が好きかと聞かれたらオレは真っ先に「ジュース」と言うだろう。苦いものは嫌い。出来ることなら飲みたくない。オレはそうやって嫌いなものからは目を背くようにしていた。
でも飲めるものがないと人はイヤでもその苦手なものを飲むしかなくなる。特に毎日のようにお茶を淹れてる者の隣にいるのなら尚更だ。
ある日、オレはゆうに言った。
「苦くなかったらお茶飲むよ」
オレの中にあるお茶のイメージは「苦い」の一言。はっきり言って苦くないお茶なんてあるわけないと思ってた。でもゆうは探してくれたのかそれとも自分自身も楽しんでたのか分からないけど、お茶の名前などを説明しながらいろいろ淹れてくれた。
ある程度飲めるようになり、お茶を会社に持っていくようになったのは最近のこと。我慢して飲んでいるわけじゃないけど、自然とお茶を飲むようになってる自分に驚きを感じてた。
そして今日。さらに驚くべきことが起きる。
いつものように淹れてもらったお茶を会社に持って行って飲んだのだけど…なんだかいつもと味が違う。今日のお茶はすごく甘い。おかしいなと思いながらもやっぱり甘くて。まだ仕事残ってるのに全部飲み干してしまった。
あとでゆうに聞いてみると、たしかに今回のはいつもと違うらしい。しかも今回のお茶はオレが最初の頃に飲んで苦いと言ってた純粋のプーアル茶のようだった。
苦手だったお茶が飲めるようになり、そして少しだけだろうけどお茶の味も分かるようになった。味覚が変わったとか大人になったとかそういう理由にはしたくはないけれど、純粋にこの成長を喜びたいなと思う。
