ゆうの両親と親近感溢れる仲になっているとはいえ、正式な挨拶は実はしていないのです。
正式な挨拶。そう、彼女をください云々の台詞のこと。
もともとオレはそういう挨拶は言う気はありませんでした。なぜって「ゆうをください」って台詞はなんだか彼女を“物”扱いしてるように聞こえるし、それに何よりゆうの両親と仲良くなり過ぎたってのがある。
ゆうと仲良くなって、ゆうの兄姉と仲良くなって、ゆうの両親と仲良くなって。今ではゆう一家と一緒にご飯をするのも苦には感じなくなった。
楽しくなっちゃうと、真剣な話ってのを持ちかけるのが難しくなる。もちろん「結婚したいと考えています」って言う話を持ちかけたときはオレの一生の中でこれ以上ないほどの真剣モードで雰囲気を作ったのだけど、「あらそう~」で終わったし…。。
なんというか…だからまぁ勝手な自己判断でいらないだろうと解釈してしまったんだ。でも今回、結婚式の予定を決める際に母に言われてしまった。「ゆうさんのご両親にはちゃんと挨拶はしたんだよね?」と。
隠してたわけじゃないからオレも正直に言ってない事を言ったら母から「言わなきゃダメよ」と猛反発。仕方ないので夕食時に言う羽目になった。
まぁオレとしても言う気が無かったわけじゃない。今までの気持ちをぶつけるため、ずっと暖めていた文章を短時間で再構成。そして夕食時、ゆうのご両親とオレの母、ゆうの目の前で話をした。
どういう経過で結婚を考えたのかから始まり、そして核心へ。オレは2つの約束をすることを誓った。
1つは「幸せにするっていうのは今後どうなるか分からないから約束はできないけど、でも、ゆうを不幸には絶対にさせない」ということ。
もう1つは「ゆうの兄姉やご両親とも今後もずっと仲良くしていきたい」ということ。ご両親は兄姉の仲を壊す人とは絶対に結婚なんて許さない。なぜって実際にご両親自身が兄弟の仲を壊されてしまった被害者だったからだ。
オレがそのことを知った時にはすでにゆうの兄姉とは親密な関係だった。いつか分からないけど、ゆうの母からゆうの兄姉の方にどんな奴か質問メールが来てたらしいけど、ゆうの兄姉たちは母に「きぃとは問題なく仲良くやってる」とのメールをしてくれたらしい。
その件あってか、ゆうのご両親との親密な関係が深まったのは言うまでもない。
挨拶は無事に済み、オレはもう一度「今後もよろしくおねがいします」と言った。「いいのよ堅苦しくしなくても」と言われたけれど、オレはちゃんと言えたことに満足感を覚えた。
同棲も結婚も当人同士の問題だけれど、だからと言って他は無視していいってわけじゃないとオレは思ってる。ゆうの兄姉や両親の言葉も、母の言葉も、ゆうの言葉も。すべてを聞いてたわけじゃないけど、でも、限りなくそれが当たり前かのように接した。それだけだ。
今後とも両家とも仲良くやっていければいいなと思います。